大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和31年(オ)259号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人小林亀郎、同佐藤謙吉の上告理由第一点について。

確定判決の既判力は、主文に包含するもの、すなわち訴訟物として主張された法律関係の存否に関する判断の結論そのものについて及ぶだけで、その前提たる法律関係の存否にまで及ぶものではなく、本件の場合、賃借権に基き土地の引渡を求める別訴につきこれを認容する給付判決が確定しても、その既判力は基本たる賃貸借の存否内容に及ばないと解するのが相当である。(所論引用の判例はいずれも本件に適切でない。)したがつて、上告人らにおいて現に賃貸借の存否内容を争い即時確定の利益の認められる限り、右給付の訴のみによつては当事者間の紛争を終局的に解決することができないのであつて、本件確認の訴は許されるものというべきである。さればこの点に関する原審の判断は正当であり、所論は採用できない。

同第二点について。

本件借地権は、その登記および地上建物の登記がなくても、昭和二一年七月一日から五年内である昭和二二年五月一五日に土地の所有権を取得した上告人ら先代ならびにその承継人である上告人らにこれを対抗することができ、その存続期間が昭和三一年九月一四日までであることは、罹災都市借地借家臨時処理法一〇条および一一条の明文上明らかであるから、所論は、判例違反に名を藉りて右と同趣旨の原審の判断を非難するに帰着し、採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小林俊三 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 垂水克己)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例